大阪市問題の見解
5月23日に開催したシンポジウムで発表した「見解」です。この見解の後にも、さまざまなことがありましたが、基本線においてはこの見解はなお効力を失っていないと考えています。
今こそ、市民生活の向上と結びつく大阪市改革を求めます。(見解)
大阪市をよくする会
阿倍野区役所のカラ残業問題の発覚に端を発した「大阪市問題」は全国からも注目されています。そうした中で、大阪市において、まさに異例というべき事態が進行しています。鳴り物入りで発足した都市経営諮問会議は、市当局者が従来の市運営に固執したことや本間正明大阪大学教授と大平助役の「確執」などから事実上解散したと伝えられています。また、「ヤミ年金・退職金」問題の特別調査委員長には、大阪市が「天敵」とまで呼んだ辻公雄弁護士が大平助役の依頼を受けて就任しました。これらのことは、現在、大阪市がすすめようとしている「改革」がすでに問題化し始めていることを示し、より根本的には、大阪市政そのものが行き詰っていることを如実に物語っているのではないでしょうか。
大阪市は4月1日、「福利厚生問題の本質と今後の市政改革の方向性について」を発表しました。この報告を作成する委員会では、大平助役は「はじめから市民に参加してもらう時間はない」と、市民参加を拒否したことは看過できません。大阪市が「市民の目線」での改革といういのなら、市民参加を保障するのは当然です。また、市場化テストをはじめとするNPMや、市バスの民営化など大阪市の公的な責任を放棄するようなことをどさくさにまぎれて行うことは許されません。
大阪市をよくする会は、市民生活の向上と結びつく改革の議論の方向性について、次の点を提起するものです。
1 大阪市福利厚生制度等改革委員会の発表した「問題の本質と改革の方向性」について
この「問題の本質と改革の方向性」に見られる項目は、「はじめにーこの報告書の位置付け」に始まり「1. 何が問題なのか 2. 原因はどこにあるのか 3. 真相究明はどこまでできているのか (中略) 6. 再発を防止する手法は何か おわりにー今後の改革本部のあり方」という柱立てとなっています。この柱立てそのものは市民の関心に合致するものと言えます。まさに市民の目線でこれらの問題がわかりやすく、かつ的確に解明されることを市民は望んでいます。
(1)問題把握の誤りについて
しかしながら、問題や原因のとらえ方は、事実と合致する部分はあるものの、一方で不十分であったり、本質に触れられていなかったりする部分が多々あります。これでは市政刷新に期待を寄せるすべての市民の理解と納得を得られるものにはならないことを危惧せざるを得ません。
「1. 何が問題なのか」では、「本質的問題」の根本ともいえる、大阪市の「経営インフラ」に「公金支出のルール・予算・決算システムのあり方」「情報公開のあり方」「監査・ガバナンスコンプライアンスのあり方」「労使関係のあり方」など、現在大阪市が抱える問題が示されています。
しかし、問題の本質ともいえる5代42年にわたった助役たらい回し市政を、共産党を除く「オール与党」が支えてきたことなどは全く触れられていません。また市労連(連合)と市当局の癒着が長きにわたって続き、市民の立場に立ち市政刷新を求める職員や、市労組連(全労連)には、不法不当な差別を行い、物言えぬ職場状況を市当局が作ってきたことへの反省もまったく見受けられません。
この2点こそが大阪市の抱える根本問題であり、改革をすすめる上での課題として明示すべきではないでしょうか。
(2)責任の所在について
いわゆる「厚遇問題」について、上記の報告書では「市役所は職員に対して負担(掛金)と公金支出(補助)と受益の関係を十分説明してこなかった。そのため、職員においても市民の視点からみて妥当な受益かどうかを自ら問い直す問題意識が生まれてこなかった。」(大阪市福利厚生制度等改革委員会)と市側の責任を認める原因分析を行っています。市の説明不足は議会に対しても当てはまり、議員にも情報が公開されていなかったことが考えられます。カラ残業について、市は3月30日に6331人に戒告、文書訓告、口頭注意などの処分を行いました。こうしたカラ残業が発生するしくみを温存してきた張本人らは「お咎めなし」では、再発防止につながるか疑問が残ります。
関市長は、徹底した改革を行うとの考えを表明し、着手し始めました。上記のような問題点はあるとはいえ、改革の中には部分的とはいえ、市民感情と合致したものもあることは否定しません。
改革が本当の意味で成功するか否かは、根本問題に大胆にメスを入れられるかにかかっています。関市長の責務はまさにこの点にあり、自らの進退をかけて遂行しなければならない課題です。民間企業なら、株主訴訟が起こっても不思議でないという事態を関市長は認識しなければなりません。この責務が果たされないならば、関市長は市民にその責任の取り方を説明しなければならないでしょう。
(3)市役所内部の良識と市政刷新について
上記の委員会が述べているように、市の説明不足による「問題意識の不十分」さは、市労組連(全労連)に結集する労働組合もその例外とはなりませんでした。昇格昇給差別されている厳しい実態や「労働組合間の公平性の確保」に目が向き、市民の目線に立った是正措置に踏み出せなかった弱点があったことも見なければなりません。しかしながら、市労組連(全労連)傘下の市労組は、早い段階で「反省と決意」を発表しました。また、いわゆる「厚遇」問題についても、市労組連(全労連)としても、単組内部で市民の立場に立った議論を行い、削減案に関して道理ある部分については受入することも表明もしてきました。これらの点から、既得権に執着する市労連(連合)とは好対照を成しているといえるのではないでしょうか。私たちは、市役所内部の良識が大きなうねりとなり、民主的な市政刷新と結びついていくことを期待するものです。
2 市民参加で市民の生活向上と結びつく改革の方向性について
―― 徹底した情報公開と市民が主人公の政策優先に
市民の大きな怒りが巻き起こっている背景には何があるのでしょうか。それは「市役所が市民の役に立つところになっていない」という感情であり、大阪市政が市民に冷たく、縁遠いものになっていることの反映です。
現在の大阪市は、“それなりの危機意識”を持ち、一見華々しい「改革」を行おうとしていますが、多少の「改革ポーズ」では、市民が「大阪市に住んでよかった」「大阪市は市民のためによくがんばっている」と実感が持てることにはなりえないことは明確です。
大都市・大阪市には、わが街を愛してやまぬ多くの市民の息吹が根付いています。歴史をひもとけば、大阪の街を創り、育ててきたのは町衆でした。水都と呼ばれた大阪の八百八橋も、高麗橋や天満橋など12の公儀橋をのぞいて、ほとんどすべてが「町橋」でした。
私たちは、先の大阪市長選挙においても、文化と歴史が息づくまちをつくることを提唱し、大阪に根ざした文化を支援することの重要性を指摘しました。また、平和・友好の立場に立ってアジア諸国との多面的な国際交流を強めることも提案しました。これらのことは、日本国憲法第9条の存在意義にスポットが当てられている今日の情勢にも合致しているのではないでしょうか。
「なんとかしよやないか、大阪を」と望む市民の声は、小さな川が集まって大河となるように、大きく真の改革の方向に向かうことを期待しています。その上で、下記の通り改革の方向性を次のように提案します。
(1)市民の要求に応えられる区役所機能の強化と情報公開の徹底を
公園、河川、生活道路とをはじめとする街づくりなどの住民要求に関しては、区役所は連絡程度の権限しかありません。情報公開条例の改正案の内容も「実効性、担保なし」(朝日新聞5月17日付)とその内容が疑問視されています。
・ 住民要求と質疑に責任が持てるよう、区民参加型で区役所機能を強化し、予算を大幅に増額すること。
・ 区役所で情報公開の手続きが行えるようにすること。
・ 情報公開条例の改正は、徹底した公開を行うことを大原則とすること。
・ 議会傍聴は、委員会においても直接傍聴できるようにすること。
・ 特に、第3セクターや外郭団体については、その原資資料も含め、すべてを公開すること。
(2)第3セクターへのこれ以上の税金投入をやめ、福祉の向上へ向けること。
大阪市は政令指定都市の中で、1000人当りの生活保護実人員数は最高となっています。また、保育所待機児童数も昨年4年ぶりにワースト1の「地位」を横浜に抜かれたとはいえ、つめこみによる「解消」であり、実質的にはワースト1とも言われています。一方で第3セクターの事業の直しは進まず、聖域扱いとなっていることは看過できません。
・ これ以上の税金投入をやめ、第3セクターの事業などの「負の遺産」を計画的に清算すること。
・ 経営者、銀行、企業に必要な責任を求めること。
・ 不要不急の事業は中止すること。進行中の大規模開発事業は必要性、採算性、費用対効果などの観点から精査し、中止・規模縮小・事業変更を含めて抜本的に見直すこと。将来の計画等も同様の視点で抜本的に見直すこと。
・ ムダ遣いをやめ、住民生活の向上へ予算を配分すること。
(3)なれあい、癒着体質と共産党を除く「オール与党」体制を改めること。
「朝日新聞」(5月1日付)は、議会で改革が進まないことに関して、「与党の若手市議は『40年以上続いた共産党を除くオール与党体制』を理由に挙げる。」と報じています。市労連(連合)と当局との癒着と「オール与党体制」は、市民を市政から遠ざける根本問題です。
・ オール与党体制を継続してきた各政党は、こうした指摘に真摯に耳を傾け、この点での問題意識と改革方向を示すべきです。
(4)「解同」との癒着を断ち切ること
「人権行政」の名の下で「乱脈不公正な同和行政」が温存されています。2003年度決算で133億3300万円、2004年度で500人を超す派遣職員が配置されています(青少年会館教育振興室に244人、芦原病院に医師10人、人権協会に市民局から146人、健康福祉局から50人など)。
・ 不公正乱脈な「人権行政」(同和行政)の全容を明らかにし、直ちに同和行政を打ち切ること。
・ PTAや振興町会までまきこむ、時代錯誤の「人権行政」(同和行政)を中止し、「解同」との癒着を完全に断ち切ること。
(5)財界・大企業に奉仕する予算編成から市民のための予算編成に改めること。
2005年度予算は「選択と集中」の名の下に、財界・大企業へ奉仕する内容となっています。4年連続の「緊縮予算」の内容は、市債残高(市の借金)が過去最高の5兆6139億円に及ぶものとなっています。また、最大の特徴は「再開発や三セク 巨額の税投入は続く」(日経新聞)ことです。阿倍野再開発事業の赤字2100億円、フェスティバルゲートの信託事業解除による負担380億円など枚挙に暇がありません。
・ 市自らが問題と指摘する「公金支出のルール・予算・決算のシステム」のあり方を、市民の立場に立って徹底的に見直し、市民のくらしと福祉、地域経済活性化を優先したものとすること。「厚遇」解消によって生まれた166億円はすべて市民のために費やすこと。
関市長は、市民の声に真摯に耳を傾けて、市民の参加を保証して改革を進める責務があります。以上の5点の方向で市政改革を進めるべきであることを指摘し、大阪市改革についての大阪市をよくする会の見解とします。市民のみなさんからのこの見解に対するご意見をお待ちしています。
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投稿 みんなのプロフィール | 2005年10月16日 (日) 22時58分
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投稿 ご注進 | 2005年11月 2日 (水) 15時30分